『吉原の遊郭』気になるところ(後編)

chiaki50612010-05-12

ゴールデンウィーク明けちゃいましたねぇ(^^)

うーーん、しばらくは連休はお預けなんで、ちょっと寂しいような・・

ま、ま、そんな愚痴は置いておいて

今回は前回の続きで

「吉原にまつわる小説」なぞをご紹介しましょうかね。


「吉原」って何でしょうかね。

現在の住所表示では使われていない地名で

今の「台東区千束三丁目〜四丁目」あたりがその場所になります。

「吉原」が出来たのは、

江戸初期、徳川幕府が出来て間もない頃です。

幕府公認の遊郭として、第二次世界大戦終了まで存在していました。

現在もソープ街などが立ち並ぶ地区ですが、

昔の面影は残していません。

つまり、「吉原」の歴史は

江戸幕府と共にあったと言っても過言ではなく、

一番隆盛を極めた時代は、その時期にあったのですね。


では、その「吉原」が一番「吉原」らしかった時代

のことが書かれた小説をご紹介しましょうか。

一つ目は隆慶一郎さんの『吉原御免状』(新潮社)。

隆慶一郎全集第一巻 吉原御免状

隆慶一郎全集第一巻 吉原御免状

この小説は、吉原が出来たばかりの江戸初期に時代設定が定められています。

タイトル通り「『御免状』とは何か?」というのが

小説のテーマになっているのですが

うんうん、隆さんの作品は本当に面白い(笑)

「吉原」にまつわる話だと

どうしても、ちょっとやらしいことを想像しちゃいますが(笑)

この小説は違いますね。

物語のスケールが非常に大きく、

教科書で習った歴史観がすべて吹っ飛んでしまいます。

隆さんの代表作『影武者徳川家康』の原点ともなっている作品で

この小説を読んだ方には更にわかりやすい内容となっています。

歴史だけでなく民俗学にも興味のある方には是非おススメですね。


次におススメしたいのは

松井今朝子さんの『吉原手引草』(幻冬舎文庫)。

吉原手引草 (幻冬舎文庫)

吉原手引草 (幻冬舎文庫)

この小説は松井さんの代表作で、直木賞も受賞されています。

『吉原手引草』は吉原が一番華やかだった江戸時代中期のお話。

一人称でミステリー仕立てになっている作品で

ぐいぐいと引き込まれます。

先が気になって気になって(笑)、一気に読み進められる作品です。

遊女の失踪と遊郭で起こった殺人事件の謎。

このストーリを縦軸に吉原の文化を横軸に

この作品は美しいも愉しいハーモニーを奏でているのです。

直木賞納得の素晴らしい作品ですよ。


他にも「吉原」が舞台になっている作品は沢山あるかと思います。

遠く過ぎ去った出来事は、美しい部分だけしか残されず、

そこにあった哀しい歴史は、忘れ去られているところがあるかもしれませんね。

最後におススメするのは、小説ではないのですが

「吉原」で実際に働かざるをえなかった一人の女性の日記です。

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)

吉原花魁日記 光明に芽ぐむ日 (朝日文庫)

この日記は、江戸時代ではなく明治末期から大正時代に書かれたもので

当時大変な反響を呼んだ作品です。

とても生々しい証言に、目を塞ぎたくなる箇所が多々ありますが

「吉原」の影の部分を知る貴重な資料と言えます。


華やかな世界には表と裏がありますよね。

自分が経験するのは嫌でも

ちょっと覗いてみたいという欲求が誰にでも少しはあるのではないでしょうか?

是非、いつもと違う世界に小説を使って足を踏み入れてみてください(^^)