桜が散ってしまいます・・

chiaki50612010-04-09

4月になっても結構寒い日が続きますね・・

桜も少しずつ散っていってしまって・・

桜ってどうしてあんなに切ない花なんでしょうか。


前回は桜にまつわる小説なぞをご紹介してみましたが、

そうですね、今回は、春なんで(!?)

「せつなくて、やさしいきもち」になれる小説を

ご紹介します。


先日、本屋さんに行ったときのこと。

新刊棚で素敵な表装の本を発見しました。

中身をパラパラとめくってみたんですが、

お伽噺のような文体で、何やら甘い香りがします。

ああ、読んでみたい!と思ったその本は、

江國香織さんの『真昼なのに昏い部屋』(講談社)。

真昼なのに昏い部屋

真昼なのに昏い部屋

(すみません、前置きが長くて)

江國さんの久しぶりの新刊ではないでしょうか?


江國香織さんには多くのファンの方がいらっしゃいますね。

私が敢えておススメしなくても、

大勢の方に読まれている作家さんのひとりです。

著作も、小説だけに留まらず

童話や絵本の翻訳、エッセイや詩など

多数出版されています。

2004年には、『号泣する準備はできていた』(新潮文庫)で直木賞を受賞されて

知らない方はおられないぐらいの人気作家さんですね。


そんな江國さん作品の中で

ファンの方に特に人気が高い作品といいますと、

きらきらひかる』(新潮文庫)『すいかの匂い』(新潮文庫)『落下する夕方』(角川文庫)

などでしょうか。

どれも素敵な作品で、他にもいっぱいあると思うのですが、

私が個人的に好きな江國さんの作品は

冷静と情熱のあいだ Rosso』(角川文庫)。

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

冷静と情熱のあいだ Rosso (角川文庫)

竹野内豊さんとケリーチャンさんで映画化もされ話題になった作品ですね。

この小説は、辻仁成さんとの共作というちょっとユニークな形の作品で

そちらの方でも大変話題になりました。

冷静と情熱のあいだ』は江國さんと辻さんの両方の作品を読んで

完結するお話なのですが・・

本当にいい作品でした。

イタリアに行ったことはないんですが

フィレンツェやミラノの美しい情景が目に浮かび

かつて恋人同士だった二人の「失われた十年」が描かれているんですね。

恋は、成就したものよりも、

破局してしまったものの方が

圧倒的な力をもって胸に迫ってきますよね。

ちょっとセンチメンタルな気分に浸りたい人にはおススメです。


私は、江國さんの作品は何作か読んだことがあるんですが

江國さんの作品を読むと、

主人公が女性の場合、その人が江國さんと被るんですね。

もちろん、この現象は、江國さんの作品に限った事ではありませんし、

主人公と著者が重なるのは

ごくごく自然なこと。

けれども、私には江國さんの作中人物が江國さんに思えて

「好きだなぁ、この人」と

思っちゃうんです。

そういう意味で、私は、江國さんのエッセイを読むのが結構好きで

彼女の私生活を少し覗いては、愉しい気持ちに浸れます。

興味のある方は、江國さんのエッセイも是非お試しあれ。

小説の方が少しクセがあって読みづらかった方も

エッセイならすんなり読めるかもしれません。

そして、読後、「何だかほっこりと幸せな気分」になれること

請け合いです(^^)


本当に女性らしい文章を書かれる江國さん、

同じ女性として憧れる女性の一人です。

よかったら、是非読んでみてくださいね!