次の日本人ノーベル賞作家には・・・

chiaki50612008-10-27


十月もあと少しで終わってしまいますね。

月日が流れるのは本当に早いと感じる今日この頃です。


さて、今月初めにフランス人の作家ジャンマリ・ギュスターブ・

ル・クレジオさんがノーベル文学賞を授与されることに

決まりましたね。

ノーベル文学賞は作品にではなく、その方の業績に捧げられる

ことが多いので、受賞作というのはないのですが、

ル・クレジオさんの作品に興味をもたれた方は是非お読みになって

下さい。集英社などから多くの翻訳本が出版されていますよ。


もしかすると、不思議に思われてる方がいらっしゃると

思うので、申し上げますと(笑)

今回は、ル・クレジオさんの本を取り上げたいわけではないんです。

(ごめんなさい!クレジオさん。)

実は、今回おススメしたい本は別にあるんです。


みなさんは、日本人でノーベル文学賞を受賞されている方が

何人いらっしゃるかご存じですか?

そうですね、お二人で、

川端康成大江健三郎さんですね。

他にも受賞されてはいませんが、候補に挙がっていた方も

大勢いらっしゃるんです。

代表的なところで、谷崎潤一郎井上靖三島由紀夫安部公房

遠藤周作などでしょうか。

ええ、でも、いま存命の作家さんで、おそらく一番賞に近い作家さんは、

村上春樹さんではないかと思っているのです。

村上さんは、日本の文学界が芥川賞を渡すタイミングを逃した(!)

作家さんの一人だと思っています。

前置きが長くなってしまいましたが、

今回はファンの多い村上春樹さんの作品を

取り上げてみることにいたしましょう。



村上春樹さんの作品で、真っ先に思い浮かぶ作品はなんでしょうか?

きっとそれぞれ違うと思います。

では、最初に春樹ブームを巻き起こした小説と言えば、

そうですね、『ノルウェイの森』(講談社文庫上下巻)ですね。

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

ノルウェイの森 下 (講談社文庫)

おそらくこの小説は説明不要なのではないでしょうか?(笑)

あまりに有名な小説で誰もが名前ぐらいは知っていると思います。

現在累計で何万部まで売れているのか(すみません)わかりませんが、

これを品切れさせている本屋さんは本屋さんではない!(笑)

と断言できるぐらい、メジャーな本です。

春樹さんの作品は、どの作品もよく読まれていて、

最新刊のみならず、既刊のちょっとマイナーな短編でさえよく売れます。

小説だけではなくエッセイも然り。

このような作家さんは、他にあまりいらっしゃいません。


わたしは、きっと春樹さんの文章には、

人を心地よく酔わせる美しいリズムがあるのだと思っています。

小説の内容は、文章が平易なのにもかかわらず、大変難解だと

言われています。

それなのに、これだけ多くの人(国内だけではなく外国でも)

読まれ続けているのは、春樹節が人の奥深い魂に

――心の琴線に触れるからではないでしょうか?


良い文章には良いリズムがあります。

文学作品も一つの芸術作品に他なりません。

ストーリーが多少難しくても、

そこから醸し出される旋律が人を惹きつけるのです。


村上さんの作品で、ファンの方からよく薦められるものの一つに

国境の南、太陽の西』(講談社文庫)があります。

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

表題になっている『国境の南』というジャズの曲を

ナット・キング・コールが歌っている・・と作中に出ているのですが

どうやらこちらは春樹さんの勘違い(!?)だったようです。

本当のところは不明で、春樹さんは「そのような曲があったように思ったが、

調べたらなかった。けれども、その曲がなくても、いや、むしろ

ない方が物語っぽくていいかな。」というようなことを

どこかで語ってられたように思います。

(すみません、この話ちょっと不確か。間違っていたらすみません。)

何はともあれ(汗)、こちらも素敵な小説。

「ジャズを流す上品なバー」で働く主人公の元に、幼い頃好きだった

女性が現れるんです。主人公は三十代の奥さんのいる人で・・・

様々に揺れ動く心の危うさを描いています。

読んだ後に、「ジャズを流す上品なバー」で一杯飲みたくなりますよ(笑)


春樹さんの小説ではしばしば、ジャズやバーが登場します。

この特集はまた次にして、

もう何点かおススメしたいと思っています。

まずは、『風の歌を聴け』(講談社文庫)。

風の歌を聴け (講談社文庫)

風の歌を聴け (講談社文庫)

春樹さんのデビュー作で、群像新人文学賞受賞作。

ビートの早いジャズを聴いているような感覚を愉しめます。

次に『蛍、納屋を焼く、その他短編』(新潮文庫)。

『蛍』は『ノルウェイの森』の前身となった小説だと言われています。

他には市川準監督で映画化されている『トニー滝谷』という短編。

レキシントンの幽霊』(文春文庫)に収録されている短編です。

読後、静けさの余韻に浸れると思います。


春樹さんの作品、いかがだったでしょうか?

実はまだまだ紹介が足りないので、

次も春樹さん特集で行こうと思っています(笑)

春樹さんの作品は奥が深いなぁ・・・