日本人のふるさとを訪ねて
最近日が暮れるのがめっきり早くなったなぁ・・
と思います。
日に日に寒さが増しますし、
北海道では雪の日もあるようですね。
紅葉も随分南下してきました。
今回は、日本の美しい四季を描いた作家
川端康成に焦点を当ててみようと思います。
「川端康成」と聞いて、思い浮かぶ作品はなんでしょうか?
人それぞれ違うかもしれませんが、
『雪国』と『伊豆の踊り子』
のような気がします。
どちらの作品も中学・高校の推薦図書になっていたり、
国語の文学史の試験に出題されたりして、
否応なく憶えさせられた(!?)方も
多いと思います。
「川端康成は大正末期から昭和初期にかけて新しい文学
の創造を目指し、新感覚派運動を推進した。」
などという言葉も一緒に丸暗記しましたね(笑)
ええ、わたしもその当時わけもわからず憶えました(笑)
そうなんです、川端康成は哀愁漂う、みずみずしく繊細な感覚で
独特な世界を創り出した作家なんですね。
では、前置きはこれぐらいにして、作品を見てゆきましょう。
まずは、川端康成の初期の頃の作品で、
- 作者: 川端康成
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これは、川端が十九歳の時に初めて伊豆に旅行したときの体験を
元に、旅芸人との清純な恋愛感情と旅情とを美しく描いています。
映画化されていますよね。これがお二人の馴れ初めだったとか。
小説はとても短くて読みやすく、読後甘酸っぱい気分に浸れます。
若い人にも読んでもらいたいですが、大人になってから
再読するのもいいかもしれませんね。
他におススメなのが、『雪国』『千羽鶴』『古都』『眠れる美女』。
(すべて新潮文庫)
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川端康成を代表する文学と言えるこれらは、
どれも叙情性豊かな作品です。
『雪国』は越後湯沢の風物を背景に、主人公島村の目から
二人の女性の姿を美しく描いています。
わたくしから見ると、主人公島村はだらしなくて
全然かっこよくないのですが(笑)、
それとは対照的に芸者の駒子と葉子は麗しい。
後の『千羽鶴』や『古都』にも共通して言えますが、
川端康成は女性の愛らしさ、愚かさ、優しさ、哀しさを
見事な筆で描ききっています。
『千羽鶴』は女性の業と悲しみを扱った作品。
幻想的な感じで退廃的なムードが漂っています。
『古都』は京都を舞台にした作品。
双子の姉妹を軸に、京都の四季の移り変わりや行事などを
織り込んだもの。二人の姉妹が境遇の違いから
上手くやってゆけないことを悟るところも切ないです。
『眠れる美女』はちょっと「エロ」くて「変態」な文学(笑)
なにせ主人公の老人の名は、『江口』。
これって、「エロ」と読めません?
川端が茶目っ気のあった人物であることが伺えます。
また、川端康成は優れた批評家でもあり、
新人発掘の才能があったようです。
芥川賞の選考には創設当時から亡くなるまで携わっており、
三島由紀夫などを見出したのは彼だと言われています。
他にはちょっと変わりどころ(!?)で
『浅草紅団・浅草祭』(講談社文芸文庫)
なども面白いかもしれません。
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こちらは、川端康成が高校生の時に馴染んだ浅草の風俗を
ルポルタージュ風に書き上げた作品です。
『雪国』やその他の抒情小説を書く前に描かれたもので、
川端康成の「中期」の作品と言えるかもしれませんね。
川端康成の文学は、全般的にとても読みやすい文体だと
思います。
すっと頭に入ってきて、こころの琴線に触れる。
他にも沢山の作品を残していますが、
どれにも共通して言えるのはこのことではないでしょうか。
そして、どの作品にも「虚しさ」が漂っている。
これは、川端が肉親の縁に薄かったところから
きているのかもしれませんね。
話は少し変わりますが、
川端康成の本の表装の絵を多く描いている画家は誰か
ご存じですか?
有名なので知っている方も多いと思います。
そうですね、東山魁夷です。
わたくしは個人的にこの方の絵が大好きなんです。
往復の書簡集も出版されています。
- 作者: 川端香男里,東山すみ,「川端康成と東山魁夷響きあう美の世界」製作委員会
- 出版社/メーカー: 求龍堂
- 発売日: 2006/09/01
- メディア: 単行本
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わたくし個人では、もう現在絶版になっているのですが、
新潮文庫から出ている「東山魁夷小画集」のシリーズが好きです。
東山魁夷のことばが散りばめられた珠玉の一品で、
眠る前の布団で眺めたい画集なんです。
今は、古本屋さんでしか手に入れられないのかなぁ・・
残念(TT)
いかがだったでしょうか。
ノーベル賞作家というととっつきにくそうなイメージが
ありますが、それは払拭されたのではないでしょうか?
是非是非、手にとって見て下さいね!