花の命は短くて・・・
今日から3月ですね。
ここのところ雨や曇りが多くてすっきりしない天気が続きますね。
徐々に暖かくなってきているのが多少の救いでしょうか。
今日は、先日の週末に本屋さんで見付けた本をご紹介したいと思います。
みなさん、突然ですが「林芙美子」をご存じですか?
こんな質問すると「知ってるに決まってるでしょ!」と怒られそうですね。
でも、知っている人はちょっと辛抱して下さい。
「よく知らない」という人を対象にお話しますね。
林芙美子さんの小説で一番よく知られているのは『放浪記』ではないでしょうか?
- 作者: 林芙美子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1979/10/02
- メディア: 文庫
- 購入: 5人 クリック: 55回
- この商品を含むブログ (81件) を見る
そうです。そうです。
舞台で森光子さんがずっと演じられているあの作品です。
森光子さんの舞台『放浪記』は2000回を超え、国民栄誉賞も受賞されましたね。
ただ、残念なことに森さんにドクターストップがかかってしまったため、
見られなくなるとのことです。
残念ですが、小説を読んで堪能することにいたしましょう(^^)
話が少しそれましたが、そう今回の小説のキーワードは「林芙美子」。
実は「林芙美子」の人生のワンシーンを小説にしたものが
発売されたんですね。
それは桐野夏生さんの『ナニカアル』(新潮社)。
- 作者: 桐野夏生
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/02/26
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 49回
- この商品を含むブログ (40件) を見る
これは、林芙美子さんが戦争まっただ中の昭和17年にジャワ(現在のインドネシア)
やボルネオ島に陸軍報道部の嘱託になって赴く話なんです。
もちろん小説なので、史実に基づいてはいますが、
「林芙美子」がどんな旅をし生活をしたのかはフィクションです。
桐野さんが「「林芙美子」ならこんな風に人生を歩んだはず!」と
豊かな想像力を働かせて描かれているのです。
桐野さんは林芙美子さんの小説がお好きだそうです。
特に『放浪記』と『浮雲』が。
それが創作されるきっかけとモチベーションに繋がったんでしょうね。
林芙美子さんは、48歳という若さで亡くなられています。
直接の死因は心臓麻痺ですが、過労死だったのではないかといわれる方もいます。
林芙美子さんは貧しい生まれで、転々と住むところや職業を変え、
そして、男性も同じようにコロコロと変えていかれたとききます。
彼女は職業作家としてやっていけるようになってから
それまで思う存分できなかった創作や文筆を
もの凄いスピードと精力でこなされたそうです。
おそらく過労で亡くなられたとしたならば、
原因はこのあたりにありそうですね。
「花の命は短くて苦しきことのみ多かりき」
という有名な一節が胸にしみる今日この頃です。
ちなみに、『放浪記』は新潮文庫から出ていますが
これは、林芙美子さんが作家として成功してから随分と加筆されています。
わたしは、彼女が初めに世に認められることとなった
初版本の粗削りな『放浪記』をお勧めします。
現在そちらはみすず書房より刊行されている『放浪記』で読むことができます。
- 作者: 林芙美子,森まゆみ
- 出版社/メーカー: みすず書房
- 発売日: 2004/02
- メディア: 単行本
- クリック: 14回
- この商品を含むブログ (19件) を見る